月刊 世界のチーズ
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2021.10.01
Vol.12 Occelli al Pepe nero e Bacche rosa |
●Occelli al Pepe nero e Bacche rosa オッチェッリ・アル・ペペ・ネーロ・エ・バッケ・ローザ ■このチーズは、イタリア・ピエモンテ州クーネオに拠点を置くチーズメーカー「Beppino Occelli Agrinatura srl」の製品です。羊乳と牛乳の混合乳から作った生地(カード)にブラック&ピンクペッパーを丸ごと混ぜ込んで作られたチーズ。ヴァルカゾット(Valcasotto)のセラーで4.5ヶ月以上の間、様々な種類の木の棚を使用して熟成されます。木の棚はチーズに特有のニュアンスを与える目的で選ばれており、中性の木材として使用される松(パイン)に始まって、楓(メープル)や林檎(アップル)の棚板等が採用されています。 ■原料乳:羊乳および牛乳(ともに殺菌乳;配合比率は1:1) ■固形分中乳脂肪:56% ■熟成期間:最低135日(約4.5ヶ月) ■大きさ・形:直径30cm、高さ7〜8cm、重さ約7kg ■原産地:イタリア・ピエモンテ州、クーネオ |
RECOMMENDED |
Occelli al Pepe nero e Bacche rosa (オッチェッリ・アル・ペペ・ネーロ・エ・バッケ・ローザ)を 存分にお楽しみいただくためのオススメのパートナー |
Beppino Occelli |
「Beppino Occelli Agrinatura srl」の創業者であるベッピーノ・オッチェッリ氏は1976年よりバターの製造を皮切りに酪農を始めました。高品質のクリームのみから作られる彼のバターは瞬く間に世界でトップブランドの評価を得ました。さらに地元ランゲやアルプス地方の伝統的製法を基に、他に類を見ないチーズのオリジナルレシピを考案します。彼が目指したのは、チーズに新しく洗練された個性を与えるために、熟成による味わいに負けないテイストや独創的で強烈なフレイバーでした。自然をヒントに、新たな発想と好奇心から驚きに満ちた味わいを導き出すことがチーズ作りの全てであると考えています。 |
新鮮で革新的かつ驚くべき相乗効果をもたらすフレイバーとして採用されたのは、山のワラ、天然の穀類の香り、栗の葉、地元ランゲ※の赤ワインの搾りかすの他、ドライフルーツ&グラッパ、ブラック&ピンクペッパーのコンビネーション。これらを利用してチーズを成熟させることで、豊かな風味と新しいフレイバーを獲得することに成功しています。 |
※ランゲ(Langhe;古い方言で「ランガ(Langa)」とも)は、クーネオ県とイタリア北部ピエモンテのアスティ県のタナロ川の南と東にある丘陵地帯。ワイン、チーズ、トリュフ(特にアルバ産白トリュフ)で有名。ランゲの文化的景観は長い歴史に根ざしています。ブドウ畑は人間と自然環境との関わりの優れた例であり、ワイン栽培の技術がゆっくりと長く進化した結果、土壌や気候の要素が特殊な土地にブドウ品種を最適に順応させることができました。これはワイン醸造の技術と関連しており、国際的な基準となっています。ここでのワイン栽培の風景は、ヨーロッパのブドウ畑の原型とも言われており、2014年6月22日、その一部がユネスコの世界遺産に登録されました。 |
Val Casotto Cellar |
Occelliは本社所在地からから約42km南下したValcasotto(ヴァルカゾット)と呼ばれる地域にチーズ専用の熟成庫をもっています。 |
熟成庫への扉を開けると、石造りの熟成庫が地下へと広がっています。 |
岩から滲み出た湧き水が熟成庫内の湿度調整に一役買います。 |
熟成庫内は思いのほか広く、奥へとダンジョンのように広がっています。 |
チーズの熟成にはその種類や熟成段階に応じて様々な種類の棚板が使用されていますが、熟成庫内は棚板に使用されている木材の種類によって部屋が分かれています。 |
▼Abete(モミ) |
▼Acero(カエデ) |
▼Castagno(クリ) |
▼Frassino(セイヨウトネリコ) |
これらの他に松(パイン)、林檎(アップル)、桜(チェリー)、山毛欅(ブナ;ビーチ)、洋梨(ペア)等、全部で12種、いずれもイタリア産の木材が棚板として使用されています。棚板の選択によってヴァルカゾットの熟成庫内は天然の植物相を製品に合わせて区画単位でアレンジすることが可能です。 |
▼ビジュアル的に迫力満点のワラ部屋 |
部屋の中央に置かれたワラバスケットの周りにチーズを並べ、ワラの香の中で熟成させます。気分はまるでロアルド・ダールのチョコレート工場さながら・・・おとぎ話の世界を具現化したような空間です。 |
Respect for raw materials |
優れた製品は原料への敬意から生まれるというのがOccelliのモットー 40年以上にわたる品質へのたゆみなき探求は、最高の牧草地の選択から始まりました。その答えがアルプス最南端の麓からランゲに広がる草原、牧草地や森にあります。ここではミルクに味や風味を与えるアルプスの花のエッセンスが豊富で、これがチーズにも同じ味をもたらします。 Beppino Occelliの品質はあらゆるサプライチェーンに裏打ちされています。彼らは優れた原料からのみ優れた製品を生み出すことができると考えており、牛であれ山羊であれ厳格なアニマルウェルフェア(Animal Welfare)の精神に基づいて農家や厩舎の選択にも注意を払っています。一見モダンなチーズメーカーの企業理念はとても原始的なところにあるようです。 |
※アニマルウェルフェア(Animal Welfare)とは、感受性を持つ生き物としての家畜に心を寄り添わせ、誕生から死を迎えるまでの間、ストレスをできる限り少なく、行動要求が満たされ た、健康的な生活ができる飼育方法をめざす畜産のあり方です。 欧州発の考え方で、日本では「動物福祉」や「家畜福祉」と訳されてきました。 |