月刊 世界のチーズ

2021.08.23

Vol.11 Bleu des Basques(ブルー・デ・バスク)

ブルー・デ・バスク
●Bleu des Basques ブルー・デ・バスク
■ブルー・デ・バスクはフランスバスク地方のチーズメーカーONETiK(オネティク)が2001年にプロデュースしたオリジナル商品で、2021年の今年はちょうど生誕20周年に当たります。羊乳製の正統派AOPチーズの代表とも言える「オッソ=イラティ(Ossau-Iraty)」の延長線上に位置するチーズで、トム(※1)のように表面にカビの生えた薄い外皮をもち、ロックフォール(※2)をマイルドにしたような風味があります。
■原料乳:羊乳(殺菌乳)
■固形分中乳脂肪:最低54%
■熟成期間:2.5〜3ヶ月
■大きさ・形:直径21cm、高さ9cm、重さ3kg / 直径28cm、高さ9cm、重さ5kg
■原産地:フランス、ヌーヴェル=アキテーヌ圏、バスク地方
tomme
roquefort
 

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THE HISTORY OF "ONETiK"

ONETIK

 1975年、バスク地方のミルク生産を増強するため、3つの小さな協同組合が編成されました。数年後の1982年、彼らは団結してBerria(ベリア)協同組合を結成。翌年にバスク地方の小さな村「Macaye(マケイ)」にチーズメーカーとして創設されたのがONETiK(オネティク)です。

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ONETIK04
 

The Basque country

 ブルー・デ・バスクの名の由来であるバスク地方について・・・
 歴史的な領域としてのバスク地方(バスク語:Euskal Herria)は、バスク人とバスク語の歴史的な故国を指す概念である。ピレネー山脈の両麓に位置してビスケー湾に面し、フランスとスペインの両国にまたがっている。
Euckal Herria
 スペイン側にはバスク州の3県とナバーラ州の計4領域があり、フランス側にはフランス領バスクの3領域がある。バスク・ナショナリズム運動の中で「サスピアク・バット」(7つは1つ)というスローガンが掲げられ、7領域からなるバスク地方の地理的範囲が示された。バスク地方全体の旗としてイクリニャ(バスク国旗)が、バスク地方のシンボルとしてラウブル(バスク十字)がある。
 北バスク(フランス領バスク)3地域はピレネー=アトランティック県の一部である。1990年代後半から2013年までは暫定的にバスク地方という行政区分がなされたものの、現在は北バスクを単独で管轄する行政区分は存在しない。
 

SHEEP

 ブルー・デ・バスクを作るためにONETiKが管理する地域の羊は3種
brebis
 いずれも移牧やピレネー山脈の急な地形に適した専らチーズ製造用の乳用羊です
 

Collection of Milk

journal
 一般的にチーズの製造は大きく3つの業務に分担されます
・Producteur de lait(乳生産者):牧畜を行って乳を生産する
・Fromager(チーズメーカー):乳を原料にチーズを製造する
・Affineur(熟成士):できたチーズを預かり熟成・管理・保管を行う

 これらすべてを一括して行うのがいわゆるフェルミエ(農家)製と言われるものですが、通常は乳生産者がチーズメーカーに原料乳を納品してチーズ作りが行われます。

 この業務分担について、2009年頃からONETiKは画期的な試みを行っています
milk collection
 オペレーション名は「la collecte de lait(ラ・コレクト・ド・レ)」

 通常なら原料乳を生産者に納入してもらうところ、逆に原料乳を回収するというシステム
milk collection
 ミルクローリー車が細い山道を通って原料乳を集めて回ります

 ONETiKは、地元の生産者との強いつながりを築くことを大切にしています。
 2009年と2010年に原料乳生産者との間でスポンサーシップ事業を設立し、80を超えるパートナーシップ契約を結んでいます。これによってONETiKは地元の生産チェーンを促進。生産のための商業シェアを確保しながら、地元の生産地域での雇用を維持するよう努めています。そして2011年12月1日以降、同社はバスク地方の45の生産者から直接羊乳の収集を開始しています。

 このオペレーションは2012年に行われたキャンペーンで合計120万リットルの羊乳を集めることに成功。これによってバスク地方でのAOC羊乳の購入量が20%増加しています。
milk producer

彼らのポリシーは

・規模や場所によってブリーダーを差別しないこと
・全ての若手生産者の育成をサポートすること
・量の多寡に関わらず、全てのミルクを回収すること
・全ての原料乳に対して同じレベルで支払いを行うこと
・余剰ミルクを回収することでフェルミエ農家のサポートを行うこと
・ブリーダーが割当量を超えて生産した場合、余剰生産分に対しても適正価格で支払い ペナルティを課さないこと

 2021年現在において、ONETiKは200を超える農家(131の羊乳生産者、70の牛乳生産者、11の山羊乳生産者)と契約し、ピレネー地域において2800万リットルを超えるミルクを扱っています。